休日に片付けようと溜めていた雑用、そして目の前にある仕事。人は様々なことを先送りする癖があります。
理想はテキパキと無駄なく予定をこなし、余裕を持った生活を送ることだと思います。しかし、一つの先送りが次々と重なり、どんどん生活から余裕を奪ってしまうのが悩みの人は本当に多いのです。
一つの先送りは次の先送りを生むことに繋がりますから、先送りを未然に防ぐことが大切です。たとえ発生しても最小限にとどめることが重要です。
今回は、先送り癖の原因と「行動力のある人がやっている8つのモチベーションアップ術」を紹介します。
この記事の目次
先送りの原因①:未来の自分に期待しすぎる
今やらずに後でやるという「先送り」の心理には「後のほうがより良い状況が整う」という根拠のない、かつ自分にとって都合の良い心理が働いています。
しかし、ほとんどの場合は、未来の自分に「より良い状況」は整っていないものです。
※注意:現在進行中の作業が済んでから手を付けるのは「先送り」ではなく「順序立てて進める行為」ですので、これは当てはまりません。
「今の自分はヤル気がないが、未来の自分はヤル気たっぷりだ!!」という根拠はどこにもありません。今この時点の自分ができないことは、未来の自分に期待できるわけがないのです。
改善法:「時間は今この瞬間しかない」というマインドを持つ
仏陀の言葉に「今しかない状況を作る。過去は追ってはならない、未来は待ってはならない。ただ現在の一瞬だけを、強く生きねばならない」というものがあります。
人間は、今この瞬間しか生きられません。過去も未来も思考の中に存在するだけの幻想です。だからこそ、今すぐ動ける状況を、常に整えておくことが重要です。
企画書を作るのであれば、そのための資料を目に留まるところに集めておく。その資料を集めるためにパソコンで検索したり、人に聞いたり情報収集し付箋等に書き出しておく。今この瞬間に、動き出せるように準備を整える・・・
今この瞬間しかないと思って強く生きることが、先送り癖の改善につながります。
先送りの原因②:現状維持の心理に支配されている
先送りとは「現状維持」と言い換えることができます。
例えば、ダイエットのためにジョギングを明日の朝から始めようと考えたとします。しかし、翌日の朝になってみると予想以上に眠たくて「やっぱり次の日からにしよう」と先送りしてしまうもの。
これが続くと「ジョギングをしない状態を現状維持し続ける」ことになります。これはジョギングだけでなく、全ての物事に当てはまる現象です。
改善法:「現状維持=衰退」という恐怖を感じることから始めよう
人間が現状維持をしてしまうのは、その状態が心地良いからです。つまり、表面的には「現状から抜け出したい」と言いますが、潜在意識では「心地良い状態を手放したくない」と思っているのです。
現状維持の心理パラドックスから抜け出すには2つの解決策があります。それは、より心地良い状態に移るか、心地良い状態を居心地悪くするかです。
しかし、この2つを一度にやろうとしてはいけません。一気に変えようとすると、反動や矛盾が生じてしまうからです。
なので、まずは人間の行動モチベーションとして最も強力な「居心地の悪いところから抜け出したい」という恐れの心理を利用することをおすすめします。
現状に心地良さを感じているのは「現状の心地良い部分」に焦点が集中しているからです。しかし、どんな物事でも陰と陽があるように、現状にも負の部分があります
今のまま10年、20年と時間が経ったらどうですか?あなたは、先送りを続けた自分にきっと後悔するはずです。また、何十年後も成長のない自分がいることに絶望を感じるはずです。
このように、現状の負にフォーカスすれば、居心地の悪さを感じるようになります。そして、その居心地の悪さに恐怖することで、モチベーションアップが可能です。
これができたら、次は「現状から抜け出したときの居心地の良さ」にフォーカスを合わせ、たっぷり味わってください。
先送りの原因③:目標が大きすぎる
目標を大きく打ち立てるのは結構なことですが「過ぎたるは及ばざるが如し」であり、大きすぎる目標は、目の前の作業をおろそかにしてしまう危険があります。
目標を達成するには地道な作業が必要ですし、地道な作業の進捗には時間がかかり、成果もすぐには出ません。
そのため、大きな目標だけに囚われていると、目標の到達点と現実の進捗具合のギャップに耐えられなくなるのです。
その結果、ギャップを感じるたびに少しずつ作業が億劫になり「先送り」が発生します。
改善法:実行可能な具体的な目標設定にする
まず、大きな目標の中から日々実行可能な範囲を見定めて細分化しましょう。そして、細分化された目標を一つずつ着実に達成するのです。
こうして目標を一つずつ達成させることでモチベーションアップを図ることもでき、より正確な計画が立てることもできます。これによって先送りは回避されます。
目標だけでなく、全ての物事には「道のり」があります。この道のりを細分化&具体的なものにまで落とし込み「これならできる」と確信できる目標こそが、あなたの未来を変えます。
先送りの原因④:結果に執着しすぎている
成果を出そうと頑張っても失敗続きで結果が出ない。そのような体験を繰り返していると、いつしか結果ばかりが気になり、仕事や作業が苦痛になってしまうものです。
あまりにも結果ばかりを気にしていては、取り組むことが苦痛になっていき、最終的には「行動すること自体」が恐怖になっていきます。
恐怖を感じることを積極的に取り組める人はいません。恐れの中で無理矢理やっていることから良い結果は生まれません。
改善法:結果ではなく過程を楽しむ
一つ一つの結果に足を止め、一喜一憂していては精神が保ちません。もちろん、失敗の原因を真摯に受け止め、仮説と検証を繰り返し、質を高めることは大切です。
しかし、これには「成功率は挑戦の数に比例する」という考えが必要です。
まず「成功」だけを求めるのではなく、そのために「多くの挑戦を行おう」という、結果よりも過程に重きを置けば、作業が苦痛にならず積極的に取り組めるでしょう。
実際、多くの成功者は「成功までの過程が一番楽しかった」と言います。燃えつき症候群になる人も、自分の目標や役割を達成してしまったことが原因です。
成功における快楽は一瞬。人生のほとんどは過程です。その過程を楽しめるようになれば、人生の大半が「楽しいイベント」になります。
先送り原因⑤:将来が見えないという不安が強い
たとえ、どんなにぼんやりしていても、ゴールがどのような状態かが見えていれば、人間は行動することが出来ます。
しかし先が全く見えない状態では何も行動できません。そんな何も見えていない状態が「先送り」を生み出す原因です。
改善法:自分の勝ちパターンや仕事術を自覚する
一流のスポーツマンは独自の勝ちパターンや、得意とする型を持っています。仕事の早い人が、自分なりの仕事術を持っているようにです。
報告書や企画書の型、営業トークの型などその引き出しが多ければ多いほど、あらゆる局面に対応でき、積極的に取り組めます。そうすることで結果的に「先送り」を減らせます。
自分の勝ちパターンや仕事術を自覚する方法としては、過去に自分が取り組んだ作業を見直すことが有効です。
また、自分が良いと思える人の仕事術を模倣してみるのも良いでしょう。また報告書や企画書であればネット上でも様々なテンプレートが落ちているので、それらを参考にするのもアリです。
最初は参考や模倣でもOK。模倣の先に「自分の型」があります。このマインドを持っておくことで、先送りすることなく積極的に取り組むことができます。
先送りの原因⑥:気合が入りすぎている
人間は「気の生き物」ですから、どのような心持ちでいるかで行動力や結果が大きく左右されます。
もちろん、気合いは重要ですが、過度に気合いを入れることは、プレッシャーを生みだし、不安を生み出す結果となります。
すると、まだまだ気合いが足りないと考えてしまい、さらに気合いを入れてプレッシャーや不安が大きくなってしまうという負のスパイラルに陥ります。
結果、自分の思いとは裏腹な状況となってしまい、身も心も堅くなって身動きが取れなくなってしまうのです。
改善法:肩の力を抜く、気楽になった方が良い方向に進む
世の中は全て完全なるバランスでできています。あなたが最も重要だと思っている物事だけで、出来事は作られていません。この世の中は、互いが影響しあって万物の現象が起こっているのです。
つまり、気合いよりも「バランスを保つこと」の方が世の中の摂理として大切で、それができれば、意外なほど簡単に結果を手にすることは良くあるのです。
気合いを入れすぎてプレッシャーや不安が生まれたら、肩の力を抜いてリラックスしてみましょう。足すことだけでプラスに向かうのではなく、引くことからプラスに向かうこともあるのを知ってください。
自分にとって適度な気合いと、オーバーヒートしそうなときは即座にリラックスする重要性を知ること。これで、全てのバランスが整いやすくなり、物事がスムーズに進みます。
つまり、結果的に先送り癖が改善します。
先送りの原因⑦:「やる!」と決断ができない
人間の行動は、ほとんどが無意識で行われています。呼吸や食べること、歩くこともいちいち「右足を出してそれから左足」と意識して行わない様にです。
ところが、私たちは「何かをする」という決断をする時は「意識」が働きます。
その時、すぐにやる気になれないのであれば、そこには「他にもっと良い選択肢があるのでは?」などの「行動のストッパーになっている意識」が働いています。
不思議なもので、意識が迷いの中に取り込まれると人間は決断できなくなり、一歩も踏み出すことができなくなります。これが「先送り」の原因になります。
改善法:思考を働かせず、とりあえずやってみる
迷いに囚われるのは、意識ある行動の時のみです。また、意識を働かせるほど、意識は強化されていき、ますます行動が億劫になるという悪循環に入ります。
人は「歩く」と決断できれば迷いは生じません。しかし「右足から出すか左足から出すか」を思考し、意識した瞬間に迷いが発生します。
しかし、一度歩いてしまえば、人間は歩みながら無意識の中で「石につまずかない」ことや「穴にはまらない」ことに気をつけながら進んでいく力があります。
つまり、思考をできるだけ働かせず、第一歩を踏み出すこと。一歩を踏み出すだけでOK。あとは、石が坂道を転がるように、どんどん進めることができます。
もちろん、最良の選択肢を思考し、意識を働かせることは大切です。しかし、意識が迷いの中に囚われて行動力が落ちてしまうことも「最悪の選択肢」なのも忘れないで下さい。
先送りの原因⑧:締め切りがないと動けない
人から期限を指定された「期限付きのタスク」はすぐに取りかかれても、自分で決めたプライベートなタスクは先送りしてしまうもの。
締め切りがないと動けない、期限ギリギリにならないと手が着かない。これは、多くの人の悩みの種ではないでしょうか?
改善法:小さな成功体験を積み重ねる
自分で締め切りを設定する場合、確実に達成できるレベルに、内容を細かく分解してください。
内容が大きすぎると「どこから手を付けようか」という思考が働き、その結果「面倒臭い」という感情が生まれ、先送り癖につながります。
だからこそ、細かく分解したタスクを確実に仕上げていく。そして、そのタスクを達成した感情をしっかり味わう。これが「小さな成功体験」としてマインドに定着します。
小さな成功体験を味わうポイントは、あなたが「フロー状態」に入れる程度のタスクに細分化することです。フロー状態は「実力の7~8割程度でできる難易度の作業」をしているときに起こりやすくなります。
大きなタスクのまま取り組むと、自分の実力以上のタスクになるため、必ず「面倒」に感じます。面倒という感情は、次に動き出すことをより億劫にさせ、長期の「先送り」に繋がるので注意しましょう。
まとめ
何度も言いますが、一つの「先送り」は新たな「先送り」の元となります。一つの「先送り」から永久に前に進めない状況に陥るケースもあります。
ただ、そんな恐ろしい先送り癖も、一つ小さな行動を起こす工夫をするだけで、簡単に払拭することは可能なのも真実です。
つまり、小さな第一歩を踏み出せる知恵を沢山持っておくことが、先送りしない行動力がある人の共通点です。
人生は「先送り」するか「行動」するか。
どちらを決断するかで、人生が大きな分かれ道になってしまうこともあります。今回の記事が「行動」するための後押しになれば幸いです。