
集中力がない根本原因は、すでに解明されています。その原因は2つ。「実行すべきタスクに注目できていない」と「今必要のない情報が脳内を占拠している」です。
ただし、この2点を解決するのは難しいもの。なぜなら、注意散漫は人間にとって必要な機能でもあるからです。もし、人にこの機能がなければマルチタスクはできないでしょう。
しかし、脳のメカニズムを知って工夫すれば、自分自身を「今取り組むべきタスクに集中する状態」に誘導することは可能です。
今から、意図的に集中力を高める「13のテクニック」を公開します。
この記事の目次
「脳は疲れない」という事実を知る
一定時間、作業に集中すると「疲れ」を感じるもの。しかし、この疲れは「肉体の疲れ」にすぎず脳の疲れではありません。なぜなら「脳は疲れを知らないから」です。
少し考えれば分かりますが、あなたが眠っているときも脳は働いています。脳が休むときは死んだとき。ところが、ほとんどの人は作業後の疲労を「脳の疲れ」だと思い込みます。
結果、「脳が疲れて集中力がなくなった。また明日やろう」という言い訳が出ます。
脳は、物理的な作業で疲れることはありません。脳の働きは「信念のボリューム」によって変わると言われており、あなたに集中力がない原因は、そのタスクに「強い信念」がないためです。
脳は死ぬまで疲れることはない。集中力とは「信念の強弱」に比例する。
このマインドセットを持っておけば、自分の集中力に限界をつけることがなくなります。また、集中力は無限であることを理解できるでしょう。
タスクに取り組む前に「瞑想」で集中力を高める
人間の脳は「1日に1万回思考する」と言われるように、あらゆる物事をマルチタスク的に考えています。そのため、1つのことに集中するのはデフォルト状態では困難です。
しかし、瞑想によって「脳内の散らかり」を整理し、今取り組むべきタスクに意識が向かう状態にすることは可能です。
瞑想のやり方は簡単。目をつぶり深呼吸をし、自分の呼吸に意識を集中させます。すると、氾濫していた雑念が薄らいでいき、脳内がどんどんクリアになっていきます。
その後、今から取り組みたいタスクに意識を集中させ、脳内に刻みつけます。そうすることで、作業を行う「はじめの一歩」がスムーズに取れ、そのまま「深い集中」に入りやすくなります。
机の上を整理し、取り組むべき本や書類を並べる
集中力がない原因は「今必要のない情報や雑念が脳内に散らかっているから」です。加えて、今あなたの目に入ってくるものも「不要な情報や雑念」として追加されていきます。
つまり、ますます今やるべきタスクに焦点が合わない「集中力のない状態」に陥ります。
作業に取り組むときは、視界に無駄なものが入ってこない環境を作ることが大切。机を整理するのはもちろん、部屋全体を整えることで、集中力を削ぐ要因を減らしましょう。
そして、机がクリアになったら、あなたが取り組みたい作業に必要なものを並べます。それしか視界に入ってこない環境を作ることで、タスクだけに脳の焦点が合うようになります。
このテクニックは、集中力がない根本原因である「雑念の多さ」と「タスクに注目できていない」の両方を解決してくれます。
耳栓やガムで外部情報を遮断する
もし、あなたの権限で周囲の環境を変えられない場合は「外部の刺激」を遮断するテクニックをおすすめします。
外部の刺激を遮断する方法は、王道ですが耳栓がやはり有効です。加えて、ガムを噛むことで脳内から「セロトニン」を分泌させることができます。
セロトニンは「集中力のもと」と言われる脳内物質で、脳が余計なことを考えていない「心の安定状態」に入ったとき、大量分泌すると言われています。
ガムを咬み続けるという一定作業の繰り返しによって意識の散漫が防止でき「心が安定した状態」になりやすくなります。その結果、セロトニンが分泌して集中力が高まるという理屈です。
「自然の音」を聴いて集中力を高める
α波とは、人間がリラックス状態のときに出る脳波。これは、脳内に無駄な情報や雑念がないクリアな状態で、集中力を高めるために最適な脳波と言われています。
α波を意図的に出すテクニックは、不規則ではなく「一定パターンの音」を聞くことです。つまり、雨音や川のせせらぎなどの「自然音」が有効とされています。
ちなみに、前述した「ガムを噛む」というのも、一定パターンの動作のため、α波を出すのに有効とされています。
脳内は、常にβ波(緊張の脳波)とα波(リラックスの脳波)が同居していますが、ガムを噛むことで、α波の割合が30%増えた研究報告もあるほどです。
以上から、自然音やガムを噛むなどの、一定の刺激を取り入れることで、意図的に集中力を高めることが可能です。
声を出すことで集中力を上げる
あなたが集中したいタスクに取り組む際、そのタスクに関する「言葉」を声に出すことで集中力を高めることが可能です。
例えば「これを解決する方法は?」「○○とは?」「ふむふむ」「なるほど」「ということは」など、自分と対話しながらタスクに取り組みます。単純に、本や書類を声に出して読むのも良いでしょう。
これによって、集中力に欠かせない「タスクに焦点を合わせる」が実現します。また、お経のようにブツブツと自問自答する行為は、脳をα波にする効果もあります。
タスクに「興味」が持てる工夫をする
前述したように、集中力は「信念」がエネルギーです。極端な話、どんなに集中できない環境であっても、強い信念さえあれば集中することは可能です。
逆に、そのタスクに取り組むことに意味を見出せない「信念がゼロ」の場合では、どんなに集中しやすい環境だろうと脳の働きは衰え、集中できなくなります。
信念よりも低次元なものとして「そもそも興味がない」ということが考えられます。人間は興味がないものに苦痛を感じ逃避するもの。この場合、集中力は絶対に発揮されません。
では、そのタスクに興味はないが実行しなければならない場合はどうすべきか?そんな時は「作業の簡易化」をしてみましょう。
勉強も、自分が難しいと思うものや苦手だと思っている教科は、興味が持てず逃避したくなるもの。しかし、あることをきっかけにストンと理解できた瞬間、どんどん楽しくなった経験はありませんか?
つまり、簡単なことから取り組み、どんどんこなしていくことで作業が楽しくなり、興味が芽生えてくるという流れです。興味がわいてくれば、そのタスクに集中できる自分になれます。
分かりやすいイメージとしては、数学が苦手で授業についていけない高校生が、小学校の算数から段階的に取り組むことで腑に落ち、気が付けば数学が好きになる感じです。
限界を感じたら「あと5分」を頑張る
まず、集中力が全く出ない場合は「今日は1分だけでOK」と決め行動しましょう。取り組み始めると、脳内から「ドーパミン」が分泌され始め、作業を続けたい状態になります。
これを「作業興奮」と言います。
作業興奮が起これば、最初に設定した「今日は1分だけでOK」という目標を超えて集中力が持続していきます。
ただし、この場合は、集中力が長時間保てないことも多いです。そこで有効なテクニックが「もう、あと5分だけやって終わろう」という、超短期の新たな設定を追加することです。
すると、作業興奮が再び起こりはじめ、集中力をキープすることができます。これを繰り返すことで、あなたの自制心が鍛えられ、集中力の持続時間がどんどん伸びていきます。
小さな目標で集中力を高める
集中力を高める方法は「ドーパミン」を分泌させること。実は、ドーパミンは「意図的」に分泌させることが可能です。
実は、ドーパミンは「将来に期待したとき」に大量分泌することが分かっています。つまり、現状よりも未来の方が良くなるだろうと確信すれば良いのです。
このメカニズムを効率的に働かせる方法は、直近の未来に「達成可能な小さな目標」を設定することです。
例えば「10分後に英単語を5つ覚える」という簡単な目標でOK。そうすることで、脳は今よりも良くなっている未来を想像し「将来の期待」からドーパミンを分泌させます。
さらに、目標達成後に「小さなご褒美」を設定するとさらに効果的です。例えば「10分後に目標達成できたらコーヒーを飲もう」という様にです。
10分でも20分でも構いません。キッチンタイマーを使って小さく時間を刻みましょう。そして、それぞれに「達成可能な小さな目標」と「小さなご褒美」を設定しましょう。
小さな成功体験を繰り返すことで自信がつき、あなたのセルフイメージも高まっていきます。そうすることで、やる気が出やすい好循環に入ります。
あなたが本当に達成したい大目標とは「小さな目標の積み重ね」によって叶います。このテクニックを使えば、あなたは確実に大きな物事を達成できます。
「危機感」の演出で集中力を高める
やる気がない人の思考には「今日じゃなくても良い」という「危機感の欠如」が根底にあります。特に、長期で達成すれば良いタスクの場合、これが顕著です。(例:受験勉強など)
しかし、大きな目標ほど長期スパンで取り組むケースが多いもの。そのため、自分で「危機感の演出」をすることが目標達成のカギになります。
危機感の演出とは「タイムリミット」を設定することです。
例えば「終電が来る1時間以内に仕事を終わらせる」となれば、電車に乗り遅れたくない危機感から必死になるはず。そんなタイムリミットを自演するのです。
単純に「○日までにタスクを終わらせる」でも良いのですが、強い危機感を持つためには「外部からのプレッシャー」を使うことがおすすめです。
終電などの外的なイベントはもちろん、恐い先生や上司など「他人のプレッシャー」もうまく使いましょう。
コツは「このタスクを怠けたことで起こるリスク」を鮮明にイメージできるかです。
集中力を削ぐ「雑念」を紙に書き出す
集中力がない状態を解消するには「脳内の雑念」を払拭することが基本です。
今、あなたの脳内にはどんな雑念が氾濫しているかを「視覚化」しましょう。頭にモヤモヤと浮かんでくる雑念を紙に書き出すのです。
すると、それらの雑念が無意味なものだということが自覚できます。また、くだらない雑念を自覚することで、自分のダメさ加減に気づき目が覚めます。
その結果「バカなこと考えないでやらないと!」という危機感がわきます。また、これによって脳内が整理され、取り組むべき作業にフォーカスしやすくなります。
自分の「モチベーションの源泉」を視覚化する
やる気が出ない原因は、あなたがそのタスクに取り組むべき「本来の目的」を忘れている、または薄らいでいることが考えられます。
私達は日々の生活の中で、優先事項を見失う傾向にあります。成功者が目標を紙に書くだけでなく、繰り返し眺めるのもそれが理由。自分が最優先で取り組むべき事柄を忘れない工夫です。
上の画像は「内的動機づけ(モチベーション)」の中心的研究者である「エドワード・デシ」が提唱する「やる気に火をつける自己決定理論(SDT)」です。
自立性(自分の興味、好き、情熱)×有能感(私はできるという自信)×関係性(他者に対する影響、貢献、関係性)
この3要素が強いほどモチベーションが高まります。デシは報酬や罰則(危機感)もモチベーションに有効だが、この場合はモチベーションを長期持続させることは不可能と説いています。
つまり、外部の影響や、やる気の有無に影響されない「強固なモチベーション」の実現するには、3つの要素を満たすことです。
あなたが、そのタスクに取り組む目的は何ですか?3要素に当てはめて視覚化しましょう。その後は、常に眺めて脳に定着させてください。
翌日のスケジュールを立てて今日を終える
今日の作業が終了したら、明日の作業がスムーズに行えるような環境を作りましょう。
具体的には、部屋や机を整理して雑念が生まれない環境に整える。机の上に本や書類を並べて、やるべきタスクに注目できる環境を作っておきます。
加えて、明日のスケジュールを作ります。手帳やスマホのスケジュール表、ToDoアプリなどに、明日やるべきことを書いて本日を終了します。
そうすることで、脳内に明日のスケジュールが記憶され、脳が潜在意識下で準備してくれます。そうすることで、脳が整った状態で翌日の作業に取り組めます。
また、脳の潜在意識が働き続けることで、目標を達成するための「新しいアイデア」にひらめいたり、目標達成を助けてくれる出会いがあったりと、ある種の「引き寄せ現象」も起こり始めます。
まとめ
大切なので繰り返しますが、集中力がない原因は「実行すべきタスクに注目していない」と「必要のない情報が脳内に氾濫している」の2つです。
集中力がない状態を簡単に説明すると、カメラで「花」を撮りたいのに、周辺の景色ばかりにピントが合ってしまい、花がピンボケしている様子です。
花にピントを合わせたいという「強いモチベーション」を持ち、今回紹介した13のテクニックでピントを合わせていく。そうすることで、あなたの集中力は無限に高めていくことができます。
集中力が高まれば、それに比例して人生のパフォーマンスが向上します。あなたの成功を心より祈っています。